ブラウザゲーム(ブラウザ版)のことを知ろう!の回

 今回は、フリーゲームでよくあるブラウザ版についてよく知ろう!の回です。

 ブラウザ版は端末問わず気軽にプレイできて便利ですが、癖も強く、快適さが損なわれるだけでなく振り出しに戻されることもざらにある難しーいやつ。プレイが中断されてそのままプレイできなくなっちゃう……というのもあるあるです。

 しかし遊ぶ側も作る側も、ブラウザゲームの特性をあらかじめ知っておくと快適にプレイすることができますよ~。

※といいつつ、元々サイト関係に詳しいわけではないので、間違ってることがあったらコメントください……!

ブラウザゲームの特徴

 ブラウザゲームとは、ウェブページにアクセスするだけでプレイできるゲームのことです。

まずはめんどくさい説明は省いて結論だけまとめてよ

……分かった

メリット

  • ダウンロード操作なしに、すぐプレイできる
  • ネットさえつながれば、Windows・Mac・スマホ問わずプレイできる
  • ダウンロードしないので、端末内にファイルが溜まりすぎることがない

デメリット

  • 動作が不安定。通信環境によっては中断する
  • セーブデータが消えやすい
  • 公開が終了したら二度と遊べない

不具合が起きた時の基本的な解決法

  • キャッシュを消す
  • 使用するブラウザや掲載サイトを変える
  • 起動している他のアプリやソフトを終了する
  • スマホではなくPCで遊ぶ
  • ダウンロード版で遊ぶ

ここからは上記の一部について詳しく説明する

ブラウザゲームの仕組み

ブラウザゲームって、ダウンロードなしでプレイできて便利だよね

厳密に言うと、ダウンロードはしている

 ブラウザゲームに限らず、ウェブページはページを表示する際に、そのページを表示するために必要な文章や画像データを、PCやスマホ端末内に自動ダウンロード(読み込み)、一時的に保存してから表示します。

 使用者が意識していないだけで、勝手にダウンロードされているんです。

 これらと全く同じ動作がブラウザゲームでも行われていて、ゲームデータをダウンロードしてからゲームを進行します。

ウェブサイトと同じく、回線状況が悪いと読み込みに時間がかかり、それがゲームの動作を重くする原因となる

ブラウザゲームはいつ通信してるの?

 ダウンロードが生じる地点は、3種類あり、エンジンや制作者の設定によって異なります。

①起動時にすべてダウンロードする

 ゲームを起動する際に、ゲームデータをすべてダウンロードする形式です。

 エンジン例(初期設定):Artemis Engine、吉里吉里SDL2、Light.vn、Ren`py
 作品例:ニコラン プロトタイプ(自サイトでの公開)

起動時に表示されるダウンロード画面(Artemis Engine)

 起動するまでに時間がかかってしまうのがデメリット。
 しかし起動されれば以降は通信が発生しないので、途中でカクついたりゲームが止まる心配がありません。
 何なら電波切ってても、再読み込みしなければ何周でもプレイできちゃいます。

②表示する際に随時ダウンロードする

 画面に表示するものに変化が生じる際に、随時そのとき必要なデータをダウンロードします。

 エンジン例(初期設定):ティラノスクリプト・ビルダー
 作品例:高崎くんと7つの魔法(ノベルゲームコレクションでの公開)

 起動時の待ち時間がほとんどないのがメリット!
 しかし画像やシナリオが切り替わるたび、つまりほぼ常時読み込みが発生するので、通信環境によってはその分カクついたり、読み込みに失敗すると進行できなくなって再起動が必要になることがあります。

ふりーむでfile not foundの表示が出て止まったり、赤丸部分みたいに正しく画像が表示されていないときは、たぶんデータの読み込みに失敗してるんだと思う

③任意の地点で分割ダウンロードする

 作品例:サクラの白書-biblio-(自サイトでの公開)

 制作者がスクリプト上で指定した地点で、指定したファイルだけをダウンロードします(ティラノの場合は[preload]タグ)。
 例えば、各シーンの一番最初や、ここは見せ場だからカクつかせたくないなーってシーンの直前、暗転中の時などに、必要な分だけあらかじめダウンロードしておきます。

 エンジンの初期設定どおりの動き(「起動時の読み込み」「随時読み込み」)も並行して行いますが、指定した地点で読み込む分、「起動時読み込み」タイプでは起動時間を短縮したり、「随時読み込み」タイプではカクつきを抑えたりできます。
 「起動時」タイプと「随時」タイプの間を取ったやり方です。

ただし、前述のとおり制作者が意図的にその動作を組み込む必要があるため、制作者がめんどくさい。指定するファイル名を間違えると読み込みに失敗するため、ブラウザ上でのテストプレイ必須だ。制作者がめんどい

そんな念押しせんでも

ブラウザゲームはセーブデータが消えやすい

 サイトを表示する際にダウンロードしたサイトデータは、キャッシュという場所に一時的に保存されます。

 保存する理由は、次回以降同じページにアクセスしたときに読み込み動作を省いて既に保存されているデータを表示させることで、表示の高速化を行うため。

 ブラウザゲームのセーブデータもこのキャッシュに保存されます。

 で、問題はキャッシュは意図せずに消えることがあるということです。

 ある程度キャッシュが溜まったり、保存期間が過ぎたら自動的に消えますし、設定によってはブラウザを閉じた段階で消える設定になっていたりします。
 キャッシュが溜まりすぎると動作が遅くなるので、消えること自体は悪いことではないのですが……セーブデータが勝手に消えるのは、困りもの。

 特に長編でセーブデータが消えるとやる気をなくしかねないので、長編の場合は可能ならダウンロード版をおすすめします!

作る側も、ブラウザ版でセーブデータが消えてもいいように、途中からプレイできるチャプターリストがあると安心だね

ちなみにキャッシュは古い情報が残っていると、ゲームのアップデートが反映されないこともある。
何か不具合が起きた場合は、キャッシュを削除すると解決する場合もあるぞ

 ※キャッシュの削除方法はブラウザによって異なるので、お調べください~

不具合が起きた時の対処法

 冒頭で、不具合が起きた時にできる対処法をリスト化しました。ひとつは上記の通り「キャッシュを消す」ですが、それ以外について詳しく触れます。

ブラウザの種類を変える

 ブラウザにはChromeやSafariなどいろいろありますが、実はエンジンによって推奨ブラウザが異なります。

 推奨ブラウザであっても、ブラウザによっては不具合が出やすいこともあり、どうやらエンジンによって得意なブラウザが異なるようです。たいていはChromeを使えば安牌ですかね……。

 ですので頻繁に不具合が起こったり起動しなかったりする場合は、ブラウザを変えると快適にプレイできることがあります。

利用する掲載サイトを変える

 ブラウザだけでなく、掲載サイトによっても挙動が異なることがあります
 サイトによっては独自の処理を加えていたり、サーバー環境が異なるため、同じゲームデータでも動きが変わるんですよね。

 例えばノベルゲームコレクションは音声データの拡張子を自動で変換してくれるのですが、変換漏れなどで音声の再生に影響が出ることがあるようです。

 一番影響が大きいのはふりーむで、経験上ティラノで作ったブラウザ版をふりーむでプレイするとかなり不安定になります(ほかのサイトでは出ない不具合があったり、勝手に再起動がかかったり)。ティラノ製ゲームは大抵ノベコレにも載っているので、ブラウザ版で遊びたいならノベコレ推奨です。
 またふりーむのゲームをプレイするURLはランダム生成されており、一定期間経つと別のURLに変わる仕様らしいですが、その影響かほかのサイトよりセーブデータも消えやすい印象があります(関係ないかもしれませんが……)。

 個人的には、ティラノで作ったゲームはふりーむにはダウンロード版だけ載せるの推奨です。スムーズにプレイできたことないし、ころころ仕様が変わっていつの間にか起動しなくなってるし、再起動もかかりやすく、起動した回数だけプレイ数がカウントされてしまうので、制作者視点ではプレイ数があてにならない……泣。

端末の環境を改善するか、端末を変える

 スマホよりもパソコンの方が安定するのは何となくお分かりかと思いますが、スマホだけでも対処できることはいくつかあります。

 一番手軽なのは、起動している他のアプリやソフトを終了することです(スマホでもパソコンでも有効)。

 人間と同じで、スマホやパソコンもいっぺんにできる仕事量には限界があります。この量をメモリといって、起動しているアプリが多いとどんどんメモリを圧迫していきます。
 なのでほかに大量にアプリを立ち上げていたり、ブラウザで立ち上げているタブが多かったり、処理の重いソフトを動かしたままゲームを起動すると、「そんなに一気に動かせんわ!!」とキャパオーバーでクラッシュしたり動きが遅くなる恐れがあります。

 ゲームをプレイしていたらよくアプリが落ちる!という方は、同時起動しているアプリを終了したりブラウザのタブを減らしてみると改善するかもしれません。

 また端末によってメモリ容量は異なり、メモリ容量の大きい端末に変えると動作が安定しやすいです。
 ブラウザ版もダウンロード版も、エンジンによって必要とするメモリ容量は異なりますが、Artemis Engineの場合、ブラウザ版の推奨メモリは3GB以上とされています。
 古い端末(iPhoneだと8以前)はメモリ数が2GB以下と少ない傾向があるので、新しい機種に変えるのも手です。4GB以上が安心!

この項目についてはパソコンのダウンロード版にも共通する。
よくパソコンがクラッシュする場合は、同時起動しているソフトを見直すといい。

以上の方法を全部試してダメなら、ダウンロード版に切り替えるしかないね

 ※実況ソフトは単体でもかなり負荷がかかるため、実況配信は必ずダウンロード版で行ってください

おまけ:ダウンロード版の特徴

 「じゃあブラウザ版とダウンロード版どちらがいいの?」を考えるために、ダウンロード版の特徴についても軽くご説明。

 ダウンロード版(DL版)は、端末内にゲームデータをダウンロードしてプレイする形式。ここではWindows等のパソコンにダウンロードするものだけでなく、GooglePlayやAppStoreなどからダウンロードするスマホアプリもこれに含めます。

メリット

  • 動作が安定している
  • セーブデータが消える心配がない
  • セーブデータ含め、ゲームデータをほかの端末に移行できる
  • 公開が終了してもプレイできる

デメリット

  • ダウンロードする手間がかかる
  • 対応端末以外ではプレイできない(フリゲは主にWindows用しかない)
  • 容量を食う

さっきからちらちら出てる、「公開が終了しても」とはどういうことだ?

フリゲだと、作者さんのご意向で公開終了することが割とよくあるんだよね
この作者さんなら大丈夫!と思っても、急に。
そうするとブラウザ版は完全にアクセスできなくなるから。
クリアまで時間がかかりそうだったり数年後も取っておきたいなら、DL版がいいと思う。 

まとめ:ブラウザ版とダウンロード版の使い分け

 ブラウザ版とダウンロード版の違いをざっくりまとめると、ブラウザ版は手軽だけど動作が安定せずセーブデータが消えやすいダウンロード版は手間だけど動作が安定していてセーブデータも消える心配がない、ということになります。

こんな作品はブラウザ版もよし!

  • 短編
  • 一気にクリアするつもり
  • ダウンロードするほどではないけどちょっと遊んでみたい

こんな作品はダウンロード版がおすすめ!

  • 長編
  • 時間をかけてプレイする
  • ストレスなくプレイしたい
  • 超お気に入りで、またプレイしたい

短編でも長編でもDL版でやるのが一番安心だけど、ブラウザ版の選択肢があるとふらっと覗き見する感じで気軽にお試しプレイできるから、プレイの幅が広がるよね。

使い分けや対処法が分かっていれば、ブラウザ版でもストレスなくプレイできる。
それぞれの特性を生かして、1つでも多くの作品を完走できるといいな。

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