「コーヒーって、甘いですか?」ライナーノーツ
お久しぶりです、らんぴです!
2024年8月、ついにノベルゲーム「コーヒーって、甘いですか?」を公開しました!ので、そのライナーノーツ(あとがき)です。
プレイしてなくても読めます!(作者的には)
不安な方は先にプレイしてね!
今回は、語りたいことがたくさんあるので、記事をいくつかに分けることにしました。今回取り上げるのは目次のとおりです!
作品内容について
制作のきっかけはコロナ
喫茶店界隈では、2020年の緊急事態宣言で休業を余儀なくされたり、再開できても席数を減らさなければいけなかったりしました。打撃を受けて閉店となった店もあったかと思います。
幸いらんぴの周りでは、コロナが直接的な原因で閉店した店はありませんでしたが、それをきっかけに高齢だからと閉めるお店や、逆に「無理しないことにしました!」と予約限定で規模を減らしたり、喫茶経営をやめて販売に専念したりと、大きな変化が巻き起こりました。ちなみに今(2024年8月)は、コーヒー豆の価格急騰という危機に直面しています。コーヒーが贅沢品になっちゃった……。
いつもお世話になっているお店に対して、何よりコーヒーに対して何かできることはないか。そんな思いで立ち上がったのが、「コーヒーの良さを伝えるためだけのノベルゲーム」企画でした。
コーヒーを広めたい一心で始まったプロジェクトですが、制作していくうちに自然と浮き上がってきたのが、本作のキャッチコピー『「好き」の形も、『苦い』の定義も、いろいろだ』です。
シナリオを書く上での決まり事
今回このシナリオを書く上で気をつけたことがあります。
それは、主人公周りの人間関係。恋人や友人、家族を出さないということです。
(ただし完全に人間関係をシャットアウトすると主人公の生活感がなくなるので、唯一職場の様子だけは描きました)
本作では、コーヒーという「好き」なもので、主人公が日々の小さな幸せを得る様子を描いています。
そこで恋人や友人、家族を出してしまうと「幸せな人なら恋人がいて当たり前」「友人と飲むコーヒーは格別」「家族は必要不可欠」のように、人間関係がクローズアップされてしまい、まるでコーヒーで得る幸せは良好な人間関係あってこそだという風になってしまいます。
むしろ恋人がいなかろうが、友達がいなかろうが、家族と不仲だろうが、好きと思えるものがあれば、ささやかでも毎日を幸せと思えるんじゃないか、そうであってほしいという願いがあります。
今回の主題歌のサビ「人と違う道歩いても 幸せ感じる何かが欲しい」というフレーズは、本作の根幹であると思っています。
幸せ感じる『何か』。その『何か』が、主人公にとってはコーヒーであり、他の人にとってはアニメだったり、アイドルだったり、飼い猫だったり。人の数だけ、それぞれの幸せの形があります。
なのでコーヒーを好きでなくてもいい、本作をプレイすることで、どんな環境の人であっても、自分が幸せを感じる『何か』の存在を思ってもらえたら。それが本作の一番大きなテーマかもしれません。
そのために、主人公がコーヒーを心から楽しむ様子だけを書くことに集中しました。
余談。今回もシナリオを書くにあたって、食レポなどを参考にしたくてグルメ系の小説やゲームを読み漁ったんですが、「食事処を舞台に、人々の交流を描く」「喫茶店のマスターがお客さんの相談を聞く」「シェフやマスターが華麗に事件を解決!」的な話がほとんどで、参考になるものが少なかったんですよ……「食べることそのものを描いた作品はないんか!!」と叫びながら、孤独のグルメばかり読んでいました。
本作も店の人との会話は最低限ありますが、徹底的に交流を排除した作品は珍しいと思います。
主人公について
なるべく、影薄くしたかった。
何となく喫茶店で見かける女性層が薄いなーと思ったので女性にしてみたのですが、あまり女性感が出てしまうと女性向け作品になってしまい男性が疎外感を感じるので、性別をあまり強調したくなかったんですよねー。
なので主人公は立ち絵はなし、どころか当初の予定では、キービジュアルと2話のコーヒーぶっ!!以外は主人公の顔を出さない予定でした。4話で想定外にスチルを描いてしまったので、溝手さんキャラが出てしまいましたが、感想でも「溝手さんが好き」と書いていただけたのでよかったです。
ちなみに溝手さんの名前の由来&モデルは、元SUPER⭐︎GiRLSで現アーティストの溝手ルカさん。またアイドル、また推しだよ……。
実写ドラマ化するなら波瑠さんとかぴったりっすよねー。
裏話
過去イチ大変だった制作
もう何が大変だったって、今作、自前で用意しなければいけない素材が多すぎる。
今作の特徴は、1話完結型×6話構成で、各話ごとに違ったお店に行ってコーヒーを飲むことです。
つまり、ほぼ6話それぞれに違ったお店の内観、道中の背景、そしてコーヒーの画像が必要です。
⚪︎ぬかと思った。
さすがにお店の内観は勝手に撮って使用するわけにはいかない(かといって許可どりはコミュ障には無理)ので、素材をかき集めました。
ただ今作のお店は、ほぼらんぴの思い出の店がモデルになっているので、道中も内観も実際の記憶に近いものにしたい思いが拭えず、撮りに行ったり、どうしても無理であれば自分で描いたり……。
で、一番大変だったのがコーヒー画像で。カップも机も、違ったお店感を出すためにバラバラのものを使わねばならず。
素材を使えば良いじゃんと思うでしょうが、コーヒー画像素材ってカップの側にコーヒー豆が散らされたイメージ画像ばっかりで、「その豆、撮影が終わったらどうするの?捨てるの?」と心が不安になる始末。で、自分で用意するしかなかったのですが……。
そんなにカップも机も持ってないよ!!そもそも我が家の照明は写真撮るのに全く適してないよ!!
なのでわざわざこれ用にカップを買い足したり、机にシートをかけて誤魔化したり、机をベランダの側に持って行って撮ったり。それでも机はどうしても被ってしまうところが出てきました……。
あと今作では、文章を読んでる感を薄めるために、本来文章で表現すれば済むところを、背景画像を使うことで説明不要にしてみたり、各話それぞれにスチルもあった方がいいので描いたり、そしてお店ごとにBGMも変えたり、リアル感を出すために環境音も積極的に入れたり、時に録音したりと、音に関してもこだわっています。
はっきり言って、1話につきプレイ時間10分程度の作品にかける労力ではないです。まじでプレイして。
あと今回コーヒーを淹れる動画も撮ったのですが、それに関しては苦労しすぎたので別記事で。
諦めた要素
今作は、体調不良その他諸々(+上記膨大な作業量)により、大変制作が長期化しまして、諦めた要素がいくつかあります。クリア後要素です。
- コーヒー教室
弊社のメインタイトル・サクビブより主人公の朔をゲストにお迎えして、「今からコーヒーを始めたいあなたへ!溝手さんと朔の、コーヒー講座!」を入れる予定でした。ドリッパーの説明とか、浅煎り深煎りとか、会話形式で質問できるコーナー。正直、ゲーム内で読むのは面倒くさいかなと思いつつ……。
結局入れなかったので、代わりに最終話でサクビブのメンバーをゲスト出演させてみたら、いつの間にか彼らがメインの話になってました。主人公泥棒!
- おかわり
マップが表示されて、作中で訪れたお店にクリア後もう一度行けるという、追加ストーリーコーナーです。しかも時間や季節によって特別ストーリーが見られる、長期的に楽しめる仕様!!
……もう書いてるだけで想像される労力に冷や汗かいてしまう。追加ストーリーにもコーヒー画像は必要だから、実質作業量倍。無理。
惜しくも諦めはしましたが、完成した今思うと、そこまで引っ張ったり盛りだくさんにする内容でもないなと感じていて、今の形で収まるのが一番よかったなと思います。
あとは、コーヒー教本を出したかった!コーヒーってね、沼いんですよ。豆沼から始まって、器具沼、カップ沼とキリがない。それらを網羅した教本をコミティアで出したかった。
うん、ゲームサークルでやることじゃないですね(真顔)。
イメージ楽曲
本作には「break time」という主題歌がありますが、それとは別に毎作恒例!「制作中はこの曲聴きながらイメージ膨らませました!」のご紹介。
という名の推しの宣伝。
コーヒーというとまったりしたイメージがありますが、なるべくそうした固定概念をぶっ飛ばしたいとの思いもあって、軽快でリズミカルな曲を多めに聴いていました。
この曲自体は恋愛の曲ですが、少し自信無さげな子が少しだけ前を向く感じは、「break time」にも影響した部分。
コーヒーの作品だけど、ステップ踏んで踊りたいなーと思いながら聴いてた楽曲です。
マイナーすぎてYouTubeにもないよ!!
アイドルヲタク歴10年以上のらんぴの中で、最推しアイドル・松たか子様です。
夕暮れの中で主人公が自分を回顧する歌。
「break time」はこの曲を参考楽曲として提出したほか、作詞も参考にしたので、だいぶ影響されています。これについては、次のブログにて詳しく。
こんな感じで、テイビの作品では珍しく、日常的な楽曲をイメージして作品を作っていて、たぶんこんなの後にも先にもないのでは、とかなりウキウキして作りました。物騒もしくは意味深な作品ばっかだもん……。
というわけで、一番とりとめないあとがきでした!
今作、本当にサクッとプレイできる仕様で、本記事を読むより簡単に楽しめるので、プレイしてない方はぜひプレイしてね!
次は主題歌「break time」の(本当の意味での)ライナーノーツ!!